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アフリットの
農法を解説

千葉県木更津市/君津市
環境再生型農業|株式会社アフリット

アフリットの農法を
解説します

 

農薬も肥料も使わなくて、どうして作物が育つのか?

これは嘘でもなければ、魔法の類でもなく、農業研究のロジックにもとづいた話です。

農業の将来というものを考えた時、環境的にも経済的にも持続可能な農法へと組み換えていく必要があります。そんな農法を構築する上で、「農薬や肥料を使わなくても成立する農業」は、一つの有効な考えになってくるとアフリットは考えています。

「考え」のページ(→)でも少し触れましたが、アフリットの農業メソッドを、このページではなるべくわかりやすく解説してみたいと思います。

METHODOLOGIES

植物と真菌の
共進化による農業

 

アフリットの農業は、一言でいうと「植物と真菌の共進化による農業」です。この「植物と真菌の共進化による農業」を進めることで、農薬も肥料も使わなくても、しっかり事業として成立する農業を構築しようと取り組んでいます。

しかし、「植物と真菌の共進化による農業」と言われても、それが一体が何のことだか、一般の方には、なかなかわからないのではないかと思います。

まずはそこから紐解いてみたいと思います。

共進化とは?
 

「共進化」という言葉ですが、これは「密接な関係をもつ複数の生物種が、お互いに影響を及ぼし合いながら進化すること」を意味します。

例えば、蘭の細長い花があるとします。すると、その蘭の花蜜を吸うため、蛾の口器が進化し、細長く伸びていきます。蘭も昆虫に花粉を運んでもらいたいから、より花粉塊が昆虫に付着しやすいような花の形へと進化していく。

これが共進化です。

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花の形と昆虫の口器は、相互作用により共進化したといわれる。

それで、話を戻します。

アフリットが取り組んでいるのは、「植物と真菌の共進化による農業」です。植物と真菌がお互いに作用し合うことで、一緒に成長していく農業です。

つまり、植物と真菌の相互の作用力を活用することで、真菌を増やし、農作物という植物をぐんぐん育てていく、というわけです。

真菌とバクテリア
 

キーワードは真菌です。

では、真菌とは何か?

糸状菌、キノコ菌とも呼ばれ、要するにキノコを形作っている菌のことです。カビも真菌の一種になります。

アフリットはこの真菌の働きに着目しているという点で、ユニークな農業生産団体であるといってもいいかもしれません。

なぜ、真菌に着目することがユニークといえるのか?

農作物を育てるにあたって、土中の微生物の働きが重要だという話はよく言われることです。つまり「微生物の働きに着目する」というのは、農業の考えとしてはごく一般的です。

この微生物には、ウイルスや原生動物も含まれますが、農業における微生物というものを考えると、大きく2種類にわけられます。

❶ 一つが細菌で、

❷ もう一つが真菌です。

細菌はいわゆるバクテリアのことで、1μm、つまり1000分の1m程度のごく小さな生物です。それに対して真菌はもう少し大きめの微生物で、5μm前後です。

一般的な農業でよく言われる「土中の微生物の働きが重要だ」という話は、実は「微生物=細菌(バクテリア)」を指した言葉なのです。従来の農業では、同じ微生物でも真菌ではなく、より小さな細菌(バクテリア)を利用するという考えがベースになっています。

「アフリットは真菌の働きに着目しているという点で、ユニークな農業法人である」といったのは、そういう意味です。

しかし農業科学が発展していくなか、最近の研究では、どうやら“小さい微生物”の細菌(バクテリア)だけでなく、“大きい微生物”の真菌の働きが重要だということが少しずつ明らかになってきています。

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農場内に自生した真菌(キノコ)

バクテリアに着目した
農法の場合

 

話を戻すと、現在の一般的な農業は、細菌(バクテリア)の働きに着目した農業です。どういう農業かというと、有機肥料を与え、それをバクテリアが餌として分解することで、植物の栄養に変えていく農業です。

植物は基本的に無機態しか吸収できないので、有機態の肥料だとそのままでは吸収できません。そこで有機肥料を水に溶かし、それをバクテリアに食べさせ分解させることで、無機リン酸(Pi)や硝酸態窒素(NO3-N)といった無機化した物質に変えることで、植物の栄養とするわけです。

この農法の場合、バクテリアの餌となる有機肥料を与え続ける必要があります。堆肥のような、分解の進んだ有機肥料です。つまり、バクテリアの好むこうした環境を常に整えるために、人為的に水と肥料を与え続けねばならないのです。

真菌に着目した
農法の場合

 

それに対し真菌利用の農法では、真菌の餌が必要となります。それが高炭素有機物と呼ばれるものです。高炭素有機物が何かというと、窒素に対して炭素の割合(C/N比)が高い有機物、炭素含有率の高い有機物のことです。

例としては、間伐材などの木の屑や、竹チップ、枯葉、枯草などが高炭素有機物になります。つまり、バクテリアが食べる堆肥とは違い、まだ分解が進んでいない固く乾いた有機物です。

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土中に漉き込まれた高炭素有機物

この高炭素有機物を餌とすることで真菌が育ち、細かい菌糸を四方に伸ばし、植物の根に絡み付き、根の細胞の中へと入り込んでいきます。こうして植物の根に入り込んだ菌糸は、空気中の窒素を同定し、植物の栄養として取り込んでくれるのです。

さらに、この真菌の一種にアーバスキュラー菌根菌と呼ばれるものがあり、このアーバスキュラー菌根菌は、リンを植物に供給する働きを持っています。

これら真菌による一連の作用によって、窒素やリンの供給のみならず、植物の水分吸収が促進されることや、植物を病気から守る効果まであることが、最近の研究でわかってきました。真菌は植物に栄養だけでなく、病気から守る抗生物質をも受け渡しているのです。そして植物は植物で、真菌に必要な養分を与えているのです。

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植物の根の細胞に入り込んだ真菌は、土を粒状化させ根に絡み付かせる。

こうして、真菌が植物の根の細胞に入り込み互いに共生することで、「植物と真菌の共進化」が始まります。

さらには、真菌が間伐材や枯葉を餌とすることで、これらの高炭素有機物の分解が進んでいきます。真菌の餌となる高炭素有機物もバクテリアの餌となる堆肥同様、適宜追加していく必要があります。しかし森の整備で生じる間伐材や竹チップ、枯葉といった未利用資源が真菌の餌となるため、必然、真菌利用の農法は里山の整備にも繋がっていきます。

そして、真菌が餌とする高炭素有機物は、真菌に食べられ分解されることで、今度はバクテリアの餌となります。真菌のように、C/N比(窒素に対する炭素の割合)が30以上の高炭素有機物は、バクテリアでは分解できません。しかし真菌が食べて分解することで、有機物のC/N比は30以下となり、ようやくバクテリアでも食べられるようになるのです。

真菌の働きに着目することで、植物との共進化を起こすと同時に、バクテリアもまたそれによって餌を得られ、その餌を分解することで植物のさらなる栄養を供給してくれるのです。

土壌についての
3つの視点

 

土壌の豊かさを示すのに、3つの視点があります。

❶ 一つは、酸性度やアルカリ度を示すphであったり、窒素、リン酸、カリウム、ミネラル、腐植といった、土壌の化学性から見る視点です。

❷ 二つ目には、土壌が粒状になっているかどうか、堅さはどうか、水はけはどうか、水持ちはどうかといった、土壌の物理性から見る視点です。

❸ そして三つ目には、微生物や小動物など、土壌の生物性から見る視点です。

一つでも欠けてはダメで、この3つが揃ってはじめて豊かな土壌となります。

真菌利用の農法では、❸の視点において真菌主体の生物性を確立することで、❶土壌の化学性と❷土壌の物理性はおのずと改善されることになります。

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アフリットのハウス農場

環境再生型農業へ
 

要するに、真菌利用の農法では、木の屑や枯葉や丸太などを直接土の中に混ぜておくだけで、これらの一連の働きを促せるのです。

そして肥料が不要なため、地下水を汚すこともありません。

枯木や枯葉が積もる森の中で起きているような、自然の循環の仕組みによって、植物の生長がおのずと進んでいくのです。

こんな具合に、真菌の働きに着目することで、従来のバクテリアを活用した有機農法(環境保全型農業)から、より積極的な有機自然農法(環境再生型農業)へと展開していく。これがアフリットの農法です。

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